アナフィラキシーによる死亡者数をみてみると‥
 厚生労働省の人口動態統計によると、1年間にアナフィラキシーが原因で死亡届けがあったのは50〜60人程度とされています。これには原因の詳細が不明なアナフィラキシーも含まれています。
 
アナフィラキシーによる年間死亡者数
西 暦 95年 96年 97年 98年 99年 00年 01年
年間死亡者数(人) 60 46 46 51 55 61 58
(厚生労働省 人口動態統計より集計)
 
ICD-10に準拠した「疾病、傷害及び死因分類」のうち、
以下のアナフィラキシー発現に基づく死亡と考えられる死因の総計。

X23: スズメバチ、ジガバチおよびミツバチとの接触
T78.0: 有害食物反応によるアナフィラキシーショック
T88.6: 適正に投与された正しい薬物及び薬剤の有害作用によるアナフィラキシーショック
T80.5: 血清によるアナフィラキシーショック
T78.2: アナフィラキシーショック、詳細不明

ICD: International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)、なお1995年よりICD-10が人口動態統計に用いられている。
 
米国アナフィラキシー事情
 どのぐらいの割合でアナフィラキシーは発現するのでしょうか?日本ではアナフィラキシーの発現頻度について、詳細な調査は行われていません。ここでは米国の疫学調査報告を紹介します。
(Neugut A.I et al. :Arch Intern Med.161,15-21,2001)

 
米国におけるアナフィラキシーデータ(推計)
  発生頻度 アナフィラキシー
リスク患者数
アナフィラキシー
による年間死亡者数
虫毒アレルギー 0.32〜5% 1,360,000〜13,600,000人 40〜100人
食物アレルギー 0.76% 1,088〜2,067,200人 100人
薬物アレルギー ペニシリン 0.7〜10% 1,904,000〜27,200,000人 400人
造影剤 0.22〜1% 22,000〜100,000人 900人
ラテックスアレルギー 220人
3人
Total 1.24〜16.76% 3,287,308〜42,967,420人 1,443〜1,503人
(Neugut A.I et al. :Arch Intern Med.161,15-21,2001)
 
 米国ではハチ毒を含む虫毒によって人口の0.5〜5%の人がアナフィラキシーを起こしていると推定されています。また、年間40〜100人の死亡が報告されていますが、実際にはもっと多くの人が虫毒により死亡していると考えられています。

 米国人口の1〜2%の人が食物アレルギーを経験しており、年間約0.0004%の人がアナフィラキシーを発症していると推定されています。また、食物アレルギーによるアナフィラキシーでの年間死亡者数は約100人報告されています。米国において、食物アレルギーの主な原因食物は、ピーナッツ(落花生)、木の実、甲殻類(エビ、カニ等)、魚、牛乳、卵、大豆、小麦があげられます。1991年の調査では、重症化しやすい食物であるピーナッツ(落花生)、木の実に食物アレルギーを起こす患者は、人口の1.1%(約300万人)と推定されています。

 入院患者の2〜3%が薬物アレルギーの既往があり、その2,700人に1人がアナフィラキシーを経験しています。原因薬物のうち、抗生物質(特にペニシリン)、造影剤で発生頻度が高く、ペニシリンは0.7〜10%、造影剤は0.22〜1%の頻度でアナフィラキシーまたはアナフィラキシー様反応を起こすと推定されています。

 その他、1988〜1993年に報告されたラテックスによるアナフィラキシー症例は1,100症例以上で、そのうち15人が死亡しています。この報告より、年間220人がラテックスによるアナフィラキシーを起こすと推定されています。

以上のことから、米国人口の1.24〜16.76%がアナフィラキシーを起こし、0.002%が死に至る可能性があり、アナフィラキシーはまれにみられる疾患ではないといえます。